地声が裏返るのではない裏声が表返るのだ ミックスボイス習得法その2

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ミックスボイス習得法第2弾

裏声を鍛える

地声張り上げを押さえて高音を出す

 

前回の記事では裏声の領域で地声を出すために
声のボリュームを一定に保つことが大切だという話をしました

そしてすでに地声の限界の音高は
裏声の領域なので

この後は上手くそのオーバーラップした裏声と地声の声域を使い分けていく練習をします


まず、地声による下からのアプローチとしてこれまで裏返っていた声域でパワーを押さえ声が裏返らない状態を安定して出せるように練習していきます

そこは十分に裏声の領域ですので、ミックスボイス習得の前段階として、曲によって地声のまま声量を押さえて上手く発声して行きます

地声で出せる限界の更に高い領域は強い裏声に切り替えて発声する二段モーションの発声で一曲を乗り切るようにします。

大声を張り上げないように声量を押さえて、張り上げた時よりも高い音域まで地声を持って行ったときのボリュームと

裏声をしっかり大きな声で発声した時のボリュームがほぼ同じになるように調節します

裏声の声帯の形を意識して強い裏声を出す練習


地声声量一定トレーニングと並行して
裏声トレーニングです

声量のない裏声を
息を大きく使いなるべくボリュームを上げられるように
鍛える練習をします

オペラのソプラノ歌手の声量をイメージしましょう。

ファルセットは声帯が離れて息が洩れている状態です

地声では出ない声域を楽に出すために自然に声帯を縦に伸ばして

その代わり横から閉じる筋肉を開放してリラックスした状態で発声しています

声帯が閉じていないのでそのままだと弱い声になります

ソプラノ歌手のような大きな声で裏声を使うようにしていると

やがてファルセットの声量を超えた

「ヘッドボイス」と呼ばれる裏声に変化してきます

ヘッドボイスとは声帯が閉じた裏声の事で

自在に出すことが出来るとミックスボイスが完成が見えてくると言っていいほど大切な発声です

このヘッドボイスの響きを徐々に胸に降ろしていけばミックスボイスがほぼ完成します

強い裏声ヘッドボイスの出し方

最初はミッキーマウスの声を想像してみましょう

そして、ミッキーマウスが大声で叫ぶように発声してみましょう

叫ぶようにで裏声を使っているうちに
金切り声のように大きな振動を得ようとして
裏声の領域で強く声帯を閉じる様になるのです

それが強いファルセットが変化したヘッドボイスと言えます

その強い裏声が出た時に、すでに一般人の声帯の筋肉の使い方を超えて
歌手の声帯の使い方になってくるのです

そして後は歌として使える強い裏声=ヘッドボイスと

その下側の裏声領域の地声を上手く混ぜるようにトレーニングしていくだけです

異なった筋肉の使い方を融合させる

声帯が閉じるから地声に聞こえる

そもそも、裏声と地声は同じピッチでも
声帯の使い方がまるで反対なのです

地声は喉を締め上げることで高音を出しますが

裏声=ファルセットは声帯を縦に伸ばし声帯の張力で高音を出すのです。

縦に伸ばすときには横から閉鎖する筋肉が自然と緩む仕組みになっているので

自然の状態では地声と裏声は共存できないのです。

地声の歌は閉鎖された声帯が息の通過によって
ビリビリと振動し、周辺の器官を共鳴させることによって
大きな声になります。

閉鎖されない声帯が震えるのが裏声=ファルセットとなり
それはそれで美しいのですが

声量が出ないのです。


ファルセットは声帯を縦に伸ばすが横から閉鎖しない

地声は声帯を横から閉鎖するが縦に伸ばさないから高音が出ない

縦に伸ばしながら横から閉じる

ここに答えを見出したのがミックスボイスです

高音を出すにはファルセットの声帯の形
強い声を出すには地声の横からの閉鎖

この筋肉の同時作用が肝です

うまく、裏声と地声を混ぜていくことで
次第に地声として聞こえる音域が広がっていきます

それがミックスボイスなのです

どの様にして混ぜていくのか

ヘッドボイスからのアプローチ

逆に表返る

それでは具体的な練習方法に移りましょう

ヘッドボイスを使って明らかに地声で出ない音域を「アー」と発声します

音名でいくとhi C ピアノのC5くらいの音高でしょうか

ヘッドボイスが上手く出せず弱々しいファルセットしか出せない場合でも問題ありません。裏声が出ていればOKです。

発声している間は喉が縦に開いていることを意識します

そして首から上、頭だけで声が響いていることを意識します

その高さのヘッドボイスから発声して少しずつ音を下げていきます

喉の形は崩さずに縦に開いたまま声の高さを下げていきます

ある程度まで声が下がってくると、頭だけで響いていたものが頭だけでは耐えきれず自然と胸が響き、地声に変わる低さのポイントが現れます

もうそれ以上は裏声を出せない。表返ってしまう瞬間です

裏声を出そうと思っているのに「アーア˝ーアーア˝ー」とどうしても地声が混じってしまう状態です

忘れてはならないのが、喉の形を縦に伸ばしたままにしておくという事です

その喉の形がキープできていれば、その時の裏声からどうしても地声に変化してしまう時の声が一番低い位置のミックスボイスになっているのです

その時の喉の形をキープした「ア˝ー」のまま慎重に今度は音高を上げていきます

ヘッドボイスと構造は同じ

最初は不安定かもしれませんが、慣れてくるとその地声が混ざった裏声のまま高音域のhiC以上まで発声することが出来るようになるでしょう。

それが自在に出せるようになれば、ミックスボイスとヘッドボイスを自然とマスターすることが出来たという事です

ミックスボイスの定義はあいまいです

ヘッドボイスと発声が似ているからです

ヘッドボイスの低音域の中高域の男性ならE、F、F♯辺り、女性ならB、B♭、C辺りを、地声が裏声に切り替わりやすいので換声点と言いますが、その領域をスムーズにヘッドボイスのテクニックで乗り切るのがミックスボイスと言ってしまってもいいと思います

胸に響かせるのがミックスボイス

ただ、ヘッドボイスとの違いは「ミックスボイスは胸が振動する」という事です

あくまでも地声と裏声のミックスな訳で、地声と同じような太さを出すことが目的でもあるので、やはりそこの「胸に響いているかどうか」がポイントとなってくるでしょう

そこは、意識してヘッドボイスが低い音高に来たら響きを首から下に持ってきて胸に響かせるように心がけることが大切です

感覚では分かり辛いので、実際に心臓の上あたりの胸に手を当てながら地声を出し、手の振動の感触を確かめます。

ヘッドボイスから音高を下げて行き、胸へ響きを下ろすことを意識しながら発声します。

上手く胸に共鳴すれば胸に当てた手にビリビリと明らかに地声の時のような振動が伝わってきますので、目安にするといいでしょう。

地声とヘッドボイスだけで、すべての音域を強い声で歌うことが可能ですが

やはり、ヘッドボイスは胸に響いていない分、地声と比べると声が細く聞こえてしまい違いが目立ちます

ヘッドボイスの下位の領域を胸に響かせることで、より地声に近付けてミックスボイスを完成させると考えるのが自然です

地声からのアプローチ

声量を一定に押さえる

地声からのアプローチの際にも喉を縦に開くことを習慣にします

地声の高音域を声帯を伸ばしながら発声しつつ、先に述べたように大声にならないように一定音量で音高を上げていきます

縦に喉を開き、大声にならないように発声して行くと自然にヘッドボイスの喉の形に近づいていきます。

ヘッドボイスに筋肉の使い方を近付ける

そうして、筋肉の使い方が似ているので地声の上限の辺りでヘッドボイスに上手く切り替えます

初めの内は切り替えるポイントを曲ごとに決めておいた方がスムーズに聞こえます

慣れないうちはまだまだ換声点で声が裏返ってしまう事でしょう。

でもあきらめずに何度も換声点を「地声音量制御発声」と「ヘッドボイスの胸部共鳴」の融合で乗り切る訓練をしましょう

当然地声ベースと裏声ベースの違った発声ですが、二つの筋肉の使い方が似ているので、その内最適な筋肉の使い方を体が覚えてきます

そして、換声点を地声からヘッドボイスへスムーズに乗り越えられるようになった時、ミックスボイスの完成を見るのです

諦めずに継続して練習しよう

実際に歌で使いながら上達する

先ほども言いましたが、ヘッドボイスさえ出せればとりあえず、高音の歌は歌えます。

ミックスボイスは音感トレーニングや声量トレーニングのように未完成のまま使いながら徐々に磨きをかけていくようなものです

地声と裏声の換声点をいかに目立たないように切り替えるかが目的なので、遠慮しないで使っていきながら、ブラッシュアップしていくようにしましょう

長い目で見て

ミックスボイスの完全な習得には
数か月から数年掛かります

しかし、上手く使えたり、
たまに裏返ったりしながら
不完全なままでも歌い続ける事によって
楽しみながら練習していくものです

習得に時間がかかる一番の理由は
第一に正解の声がわからないから
どうやってゴールにたどり着けばいいのかわからないことです

それには実際にミックスボイスが出せる人の
声を聴いて何度も練習することが大切です

きっかけ作りも大切

そしてもう一つ
トレーニングする覚悟はあるけれども
そもそもミックスボイスを出すきっかけが
なかなか分かり辛いこともあります。

ミックスボイスを習得するために
どんな声をトレーニングして行けば良いのか?

どうやって最初の声を出していくのか?

こちらで公開していますので
もし興味があればどうぞ。

ミックスボイスへの扉

まとめ

ミックスボイスの習得方法は主に2つ
  1. 地声張り上げを押さえて高音を出す
  2. 裏声の声帯の形を意識して強い裏声=ヘッドボイスを出す
ヘッドボイスから下の方へアプローチする
地声からヘッドボイスの形へアプローチする
ヘッドボイスの下限の辺りで胸に響かせる
換声点を上手く乗り越える事に時間を掛ける
ヘッドボイスだけでも高音部分を乗り越えられるので、実践しながらミックスボイスを完成させよう


それでは今日はこの辺で。


あなたの音楽ライフが日々レベルアップしていく事を
願っています。

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